データで見る森林ボランティアの現状

森林ボランティアの現状を、森林ボランティア団体、行政、森林所有者、市民それぞれの視点で見ていきます。
※2004年時点でのアンケート結果・考察になります

(1)森林ボランティア団体の実態

森林ボランティア団体数

林野庁の調査によると森林ボランティア団体数は、活動団体に直接国の支援が始まった1997年には277団体でした。それが2000年には581団体、そして2003年には1165団体に増えています。
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(出展)林野庁森林保全課『森林づくり活動についてのアンケート集計結果(平成16年2月調査)』,2004年4月

会員数

50人未満の小規模な団体が増えています。100人未満の団体が約7割を占めています。

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(出展)林野庁森林保全課『森林づくり活動についてのアンケート集計結果(平成16年2月調査)』,2004年4月

課題

森林ボランティア団体は、団体運営や森林保全活動を実施する上での「資金確保」という組織運営上の問題をあげる団体が最も多く57%にのぼっています。次いで「参加者の確保」(49%)という人材面も重要な課題であると捉えられています。これらは1997年度や2000年度の調査と比較しても、依然として解決されていません。それらに続いて、「安全確保」(24%)、そして「指導者の養成・確保」(24%)といった側面も捉えられている状況にあります。

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(出展)林 野庁森林保全課『森林づくり活動についてのアンケート集計結果(平成16年2月調査)』,2004年4月

(2)森林所有者の森林ボランティア観

さて、森林ボランティア活動を行う上で、まず必要となってくるのが「フィールド」の確保です。その際、そのフィールドの所有者の理解は必要不可欠です。森林所有者から見た森林ボランティアについて見てみてみましょう。

受け入れ意向

森林所有者の森林ボランティアの受け入れ意向については、「積極的に受け入れたい」や「特定の作業に限って受け入れたい」という能動的な受け入れ希望者が約3割。「ボランティア団体等から申し入れがあれば、受け入れてもよい」という受動的な受け入れ希望者が同じく約3割、そして「受け入れたいとは思わない」という受け入れに否定的な所有者が約35%と、おおむね均等に別れる傾向にありました。

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(資料)農林水産省統計情報部『林業生産活動等に関する意向調査結果』,2003年3月

受け入れ上の問題点

それとともに、受け入れる際の問題点として森林所有者が懸念していることは、「安全性の確保」が65%と最も多く、次いで「作業技術のレベル」が51%、「作業途中放棄や作業期間の長期化」が43%となっています。森林ボランティアの安全・技術水準などがわかりづらく、また活動に対しても不安を抱いているのが実態です。今後、森林ボランティア団体の安全・技術水準の向上とともに、そのレベルを森林所有者に対して明確に示すことができる仕組みが求められているともいえるでしょう。

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(資料)農林水産省統計情報部『林業生産活動等に関する意向調査結果』,2003年3月

受け入れ前の期待

実際に森林ボランティアを受け入れている森林所有者は、受け入れの際には、「森の手入れ(森林整備)」に最も期待しています(72.7%)。そして、「地域住民の意識の向上」(38.2%)、「都市住民の意識の向上」(23.6%)などと、幅広く森林管理の必要性を普及啓発する側面の期待も抱いています。

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(資料)島田俊平:「森林所有者が森林ボランティアを受け入れる意義」『森林ボランティア論』,日本林業調査会,2003年12月

受け入れた際の満足度

森林ボランティアを受け入れた森林所有者は、8割近くが肯定的に捉えています。さらに、3割近い森林所有者が「期待以上」の成果を感じているという結果は、「森林の手入れ(森林整備)」にとどまらず、教育の場、あるいは交流の場などとして、森林ボランティアの可能性を示しているように思います。

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(資料)島田俊平:「森林所有者が森林ボランティアを受け入れる意義」『森林ボランティア論』,日本林業調査会,2003年12月

以上のように、受け入れ経験がない森林所有者は森林ボランティアの受け入れを慎重に捉えている場合も少なくないものの、実際受け入れた所有者は好意的な印象を抱いています。森林ボランティアの可能性が感じられる結果となっています。

(3)行政の森林ボランティア観

阪神・淡路大震災以降に森林ボランティア活動を後押ししてきたのは行政機関です。その行政関係機関が森林ボランティアをどの様に捉えているかを見てみましょう。

森林ボランティアの支援目的

都道府県によって実施されている、各種の森林ボランティア事業は、その目的を「森林・林業に関する普及・啓発」としている場合が97.6%、また「森林保全政策を推進するための世論形成」としている場合が52.3%と、普及教育的な要素が強い傾向が見られます。また、近年の「ふるさと100万人回帰運動」や「都市と農山漁村の共生・対流運動」といった農山村地域の活性化も大事な目的として捉えられており、人工林や里山・雑木林等の管理という要素は、支援目的の中では少数にとどまっています。

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(資料)佐藤岳晴・山本信次:「都道府県における森林ボランティア支援政策の動向」,
『北海道大学農学部附属演習林研究報告 第57巻 第2号』,2000年9月,pp134-138

また、行政による森林ボランティア支援は、大きく三つの段階に分けて捉えることができます。
これまでの実施されてきた「第一段階」は、活動参加者層の裾野を拡大する点が重点的に取り組まれてきました。そして、現在の「第二段階」では、ボランティアの組織化や技術研修といった、森林ボランティア活動の活動基盤を整備する事業が重視されています。今後の「第三段階」として、リーダーの育成やネットワーク、そして自立化のための支援などがあります。

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(資料)佐藤岳晴・山本信次:「都道府県における森林ボランティア支援政策の動向」,
『北海道大学農学部附属演習林研究報告 第57巻 第2号』,2000年9月,pp134-138

(4)市民の森林ボランティア観

参加する側である市民はどのように森林ボランティアを捉えているのでしょうか。

森林保全・整備の担い手としての期待

今日の森林管理にとっての大きな課題である放置された森林の整備は、「補助割合増加や担い手の拡大などの条件整備」により、森林所有者や森林整備に意欲ある者が手入れのしやすくなるようにすること、および森林整備に意欲ある「森林組合・NPO・ボランティアが代替」して整備すること、が約35%を占めています。森林ボランティアへの期待が見られます。

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(資料)内閣府大臣官房政府広報室『森林と生活に関する世論調査』,2004年3月

地球温暖化防止対策のあり方

その対策に向けた森林整備への費用負担については、基本的には「温室効果ガスを排出する割合に応じて企業や国民が負担」あるいは「森林の恩恵を幅広く受ける国民が全体で負担」といった「受益者負担」という形態が最も適当だと捉えています。しかし、「緑の募金などの自発的な拠出」あるいは「ボランティアなどの自発的な森林整備活動」といった「自発的負担」も少なくない結果となりました。
つまり、地球温暖化防止対策として自発的な森林ボランティア活動へ参加することが、約16%の人々が妥当な方法だと捉えています。

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(資料)内閣府大臣官房政府広報室『森林と生活に関する世論調査』,2004年3月

参加意向

森林ボランティアへの参加意向については、約4割の人が「参加希望あり」と回答しています。

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(資料)内閣府大臣官房政府広報室『森林と生活に関する世論調査』,2004年3月

参加形態

「職場や地方自治体などのイベントに参加」する形が55.4%と最も多く、次いで「森林ボランティア団体に加入して活動」するスタイルが29.4%となっています。「参加型」が多い結果となっています。一方、「自分たちで独自で活動」するという形も11.6%あり、「自立型」の参加者も少なくない傾向が見られました。

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(資料)内閣府大臣官房政府広報室『森林と生活に関する世論調査』,2004年3月

以上のように、森林ボランティアを取り巻く要因は、いくらかの課題が見られるものの、活動団体数が増加するとともに、徐々に活動基盤が整えられてきています。また世論や森林所有者の理解、そして様々なアプローチからの参加意識など、「国民参加の森づくり」の定着や活性化に向けて、期待を感じさせる結果が見られました。