MENU

森づくり基礎知識

森林の種類

日本の国土面積の約3分の2を占める森林ですが、その成立過程や主要樹種などによっていくつかに分類されます。森づくり活動をはじめると、関係者の間で「〇〇林」という言葉が頻繁に交わされることに気づきますが、その種類の多さに驚いたことはないでしょうか。よく使われるものを中心にご紹介します。

針葉樹林

葉が針のように細長く堅い葉をつけるマツやスギ、ヒノキなどの裸子植物球果植物門の樹木を針葉樹と呼び、これらを主に構成される森が針葉樹林です。多くは常緑性の常緑針葉樹ですが、カラマツなど落葉性の落葉針葉樹があります。
針葉樹は育つのが早く加工しやすいため、木造住宅建築の目的で戦後大量に伐採され、高度経済成長期には「拡大造林政策」により、全国の広葉樹林や原野などが針葉樹の人工林に置き換えられました。

広葉樹林

サクラ、ケヤキなど平たく丸みを帯びた葉を持つ被子植物の樹木を広葉樹と呼び、これらを主に構成される森が広葉樹林です。サクラ、ケヤキ、ブナ、ミズナラ、カエデのように秋に葉を落とす落葉広葉樹と、シイやカシのように葉を落とさない常緑広葉樹(照葉樹)に分けられます。
日本の森林面積の54%が天然林で、その84%が広葉樹林。広葉樹林の多くは人の手によって何度も伐採され、伐採後に成立した二次林です。

(針広)混交林

基本的には2種以上の木からなる森林を混交林と呼びます。そのうち、「針広混交林」とは、森林の最上層である林冠層で、針葉樹と広葉樹とが混ざり合っている森林と定義されています。

人工林

日本の森林面積の約4割、1,020万haは、人の手で植え育てられた人工林です。その約9割は、スギ、ヒノキに代表される針葉樹林。生長が早く建築資材等に利用しやすいため、高度成長期に大量に造林が行われ、その多くが今、本格的な利用期(伐期)を迎えています。
日本の森林蓄積は年々増加しており、平成29(2017)年現在で約52㎥、そのうち人工林が約6割を占めています。「育成林」と呼ばれることもあります。

天然林

人工林以外の森林を、広くとらえて「天然林」と呼びます。本来「天然林」は、人の手によって植えたり伐ったりされていない、自然の力だけで育った森林のことを意味しますが、人の手による伐採や、森林火災など自然の撹乱があったあとの土壌で、自然に萌芽更新をして成立した森林も「天然林」と呼ばれます。人工林と比較して「自然林」と呼ばれることもあります。

原生林

「天然林」のうち、荒れ地の状態からやがて草が生え、森林が成立するまでと、それからの植生遷移の過程で、長い間自然の撹乱や、人の手が入った痕跡が見えない天然林を、「原生林」または一次林といいます。原生林は遷移の最終段階(極相状態)にあって安定しており、絶滅危惧種など希少な生物のゆりかごとなっていることが多いです。

二次林

もともとあった天然林が人の手で伐採され、その後に天然更新によって成立した森林、二次遷移の途中にある森林を、二次林と呼びます。
二次林の中でも、古くからエネルギー利用を目的とした「薪炭林(しんたんりん)」として人々に利用され、伐採と再生を繰り返してできたのが「里山林」です。代表的な樹種はクヌギ、ナラ、カシ、ブナなどの広葉樹です。

単層林

樹齢が同じで、樹冠(枝や葉の生い茂っている部分)が均一に育っている森林を単層林といいます。森林を一定の面積にわたって伐採し、その後一斉に植え付けて単層林を育てると、ほぼ同じ大きさの木が並ぶため、同時期にまとめて伐採しやすくなります。人工林に多く見られます。

複層林

単層林に対して、さまざまな世代の木が混ざって育っている森林を複層林といいます。中でも、択伐(伐採時期に達した木を選んで伐採する方法)などによって空いた場所に苗木を植えて育て、一つの森林のなかに年数や高さなどが異なる樹木が育つ人工林を「育成複層林」と呼びます。皆伐(一斉に伐ること)をしないので、森林環境を大きく変えることなく、継続的な管理がしやすいと言われています。