さまざまな「美しい森林づくり」

現在、各地のNPO・ボランティア団体や企業、地方自治体や森林組合等によって、さまざまな「美しい森林づくり」を推進する取り組みがなされています。ここでは、その代表的な取り組み事例を紹介します。

古来からの森林との関わりを大切にした取り組みです。
森林にふれることで、森林文化や生活を継承することに
つながります。

木材の新たな可能性をさぐり、山村文化の理解を深める

諸塚村産直住宅プロジェクト
 宮崎県諸塚村 耳川森林組合

variety_img01村の95%を山林におおわれ、林業を中心としている諸塚村。ここでは、都会に住む人々にも木材の魅力を知ってもらおうという活動が行われています。
「顔の見える家づくり」をコンセプトとする「産直住宅プロジェクト」では、山の木の伐採から都会での家づくりまで、関係する人たちが一緒になって取り組んでいます。単なる素材の供給にとどまることなく、人々の交流を含めた活動により、都会の人々にも貴重な三孫文化が伝わっていきます。

いつでも良質な水が得られるように、森林を手入れする。

今治地方 水源の森
 愛媛県今治越智地方

variety_img02愛媛県今治越智地方に広がる約7,000haの広大な水源の森。古くから土砂崩れと渇水に悩まされてきたため、山を治め水を確保するには森林づくりが一番と、地域住民による治山治水の山づくりの伝統が受け継がれ、スギ・ヒノキを植え、積極的に間伐に取り組んできました。今では、下流域の良質な水道水や農業用水などを支えています。森林と人との理想的な関係がつくられており、日本を代表する森林として「水源の森百選」にも選ばれています。

地域や森林の特色をいかし、みんなで国民の森をつくる。

綾の照葉樹林プロジェクト
 綾川流域照葉樹林保護・復元計画

variety_img03「綾の照葉樹林」は宮崎県綾町の大森岳南東稜を中核として広がる日本で最も大きな原生的照葉樹林です。森林にはクマタカなどの希少種や、800種以上もの植物が生育しており、荘大で美しい景観は私たちに大きな感動と安らぎを与えてくれます。この素晴らしい「綾の照葉樹林」を守るため、森林管理局や、市民団体、地域に住む人々など、多くの人が協力して整備・保全活動を行っています。

森林の大いなる力で癒される

森林セラピー
 信州木曽上松・赤沢自然休養林ほか

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ドイツをはじめとする欧米諸国でさかんな自然療法。「森林セラピー」は、森林から得られるリラックス効果やストレス解消の効果を科学的に解明し、心と体の健康に活かそうという試みです。信州木曽上松・赤沢自然休養林では、樹齢300年の木曽ヒノキが生い茂る天然林で、木々や土の香りに包まれ、風が葉を揺らす音を聞きながら散策することができます。
森林セラピーを楽しめる森林が、いま全国各地で増えています。

未経験から森林で働く方を、しっかりサポート
林業で森林づくりに協力してくれる方を募集しています。

都会から田舎へ。森林での新しい仕事、暮らしを応援します。

緑の雇用
 和歌山県 美山村森林組合

variety_img05自然の中で、体を動かして働きたい。そんなふうに思ったことはありませんか? 林業には、未経験から働く人をサポートする「緑の雇用」という制度があります。過疎化が進んだ山村に人が集まり、そして林業の担い手を育て森林の整備をすすめるために、いま日本各地で、「緑の雇用」の取り組みが進んでいます。

variety_img06美山村森林組合の宮川さんも、「緑の雇用」で林業をはじめた1人でした。もともと宮川さんは大阪でサラリーマンとして働いていましたが、林業に興味があり、何度か現場に足を運んで見学をしたり、頼み込んで実際に仕事を体験させてもらい、美山村で働くことになりました。転職してはじめの数年が、「緑の雇用」の期間にあたります。実際に現場で仕事をしながら、植付け、下刈り、間伐などの研修を受け、少しずつ必要な技能を身に付けていきます。さらに大きな林業機械を使用するので、それらの資格も取得します。

実際に林業に就いてはじめの頃、肉体的な厳しさは予想通りだったけれど、周囲の方のサポートもあり、仕事をすすめるうえで困ることはなかったと宮川さんは言います。しかし家族を持つ宮川さんにとって、もっとも不安だったのが住む場所のことでした。美山村森林組合では、こうした「緑の雇用」などで地域外から林業に従事するためにやってきた方に安心して働いてもらえるよう、それぞれ住宅や寮などを提供し支援しています。宮川さんがお住まいなのも、定住者促進住宅。広々として新築の一軒家に、奥様もたいへん喜ばれたそうです。

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宮川さんが美山村にやってきて、今年で5年目になります。かつては考えられなかった、子供たちと一緒にゆっくり過ごす時間。家族がそろって同じ時間に夕食を食べ、同じ時間に寝ます。また時間にゆとりができたので、休日の趣味も存分に楽しむことができます。林業を生業とする人のことを、彼らは自身で「山師」と呼びます。林業は本当の一人前になるまで10年かかる、息の長い仕事。宮川さんは、「早く先輩に追いつき、一人前の山師になりたい」と充実感あふれる笑顔で言います。

「緑の雇用」などの取り組みで、山村は少しずつ元気になってきました。林業は依然厳しい状況にありますが、低いコストで木材を運搬するための「低コスト作業道」や、所有者が細かく分かれた山をまとめて効率よく作業をすすめるための「団地化」など、新しい取り組みが行われています。美山村の場合では、森林組合作業班35人のうち、26人が「緑の雇用」などで地域外からやってきた方です。この先も、年に3人程度の増員が理想とされています。「緑の雇用」についてのガイダンスや説明会が、各地で行われる予定です。林業に興味のある方は、ぜひ参加してみてください。

企業が行なうCSR活動やNPOなどによるボランティア活動もさかんです。

子供たちの自然環境への理解が深まる。

こども山賊キャンプ
 長野県泰阜村 NPO法人グリーンウッド自然体験教育センター

variety_img08NPO法人グリーンウッド自然体験教育センターが行っているのは、小中学生を対象としたキャンプです。キャンプに集まった子供たちは、木を伐ると環境破壊と言い、木を使うと自然がかわいそうと言うそうです。しかし、重い薪を割って風呂を焚きごはんを作るうちに、初めて木の価値に気づきます。自然を大切にする本来の意味を学ぶのです。また、間伐した木材の利用が、森の生育につながることも学びます。ただ便利なだけの生活では気づかなかった、木の大切さやありがたさ。キャンプを通じて、自然によって生かされていることを実感した子どもたちの、環境保全についての理解が深まっています。

山火事で消失した森を、100年かけて回復する。

百年の森づくりの会
 埼玉県秩父市

1997年より「水を育む山への恩返し」をコンセプトに、100年かけてブナやミズナラ などの広葉樹の森をつくる「百年の森づくりの会」。山火事によって失われた森林をよ みがえらせようと山火事跡地での作業道づくりからはじまったこの活動も、10年目とな る今では活動場所は4ヶ所に。活動内容も、苗木育成、植栽、間伐など森づくり一 連の作業にまで広がりました。会員の数も、個人・法人・団体を合 わせて796人に。

作業に参加された方たちからは、緑の美しさに対する感動や素晴らしい仲間との出会いを喜ぶ声が聞かれるそうです。子孫のために木を植えるというロマンを胸に、仲間との共同作業や語らいを楽しみながら、埼玉の母なる川、荒川の水源林に100ヶ所の百年の森をつくることを目指して、地道な活動が続けられています。

企業による森林づくり

和歌山県田辺市中辺路町 日本たばこ産業

variety_img10ここ数年、環境に対しての意識がぐっと高まり、CSR、つまり社会的責任を考える企業が増えてきました。「JTの森 中辺路」は、JT(日本たばこ産業(株):以下JT)が取り組むCSR活動のひとつです。JTは製品に葉たばこや野菜など自然由来の原材料を使用することから、自然の恵みによって事業が成り立っていると考え、植林・森林保全活動を実施。「JTの森 中辺路」では、かつて皆伐(立木を全て伐採すること)された50Haの山に10年かけてケヤキやコナラを植え、森をよみがえらせる取り組みが進んでいます。現場ではJTグループの社員やその家族などの参加者に対して、森林組合からの親切な指導や、地元の方からの炊き出しがあり、地域の方との温かい交流の場にもなっています。

間伐材を使った製品で、街にいながら美しい森林づくり

カートカン
 森を育む紙製飲料容器普及協議会(略称:もりかみ協議会)

variety_img11街に生活しながら森林づくりに貢献することもできます。たとえば紙製の飲料缶、「カートカン」の商品を選ぶのも、そのひとつです。カートカンは、アルミ缶のかわりにジュースやコーヒーなど多くの飲料に使われています。カートカンは、もともとヨーロッパにあったものでした。内側にアルミを貼った紙製容器でしたが、日本ではアルミを特殊なフィルムに替えることで、牛乳パックと同様のリサイクルを可能にしました。またカートカンは、国産材の積極的な利用を通して、CO2を吸収する元気な森林づくりを進めようという「木づかい運動」の実践商品でもあります。商品価値が低く、使われていなかった間伐材を原料として利用することで、間伐材に新たな商品価値が生まれ、 その結果林業が活性化され、森林の整備につながっています。

2006年、カートカンは環境への配慮にたいへん優れた製品であるとして、エコプロダクツ賞を受賞しました。カートカンを広めるもりかみ協議会には、環境への高い意識を持つ企業が集まりつつあります。競合会社であることを垣根を越え、また商品の取り扱いの有無に関係なく、趣旨に賛同した企業が協力して森林づくりに貢献しています。生活の中でできる小さな森林づくりに、ぜひあなたも取り組んでみてください。

緑の募金

variety_img12「美しい森林づくり」に向けた取り組みの一つである「緑の募金」は、「緑の募金法」に基づいて全国各地の街頭や学校などで行われる募金活動です。皆様からお寄せ頂いた募金は、お住まいの地域や学校の緑化活動をはじめ、森林ボランティア団体などが行う国内の水源林や里山林の整備、さらにはマングローブの植林や熱帯林の保全活動といった国際協力など「国民参加の森林づくり」に活用されており、国民の皆様からの大きな期待が寄せられています。