国民全体で支える森づくり

昭和50年代後半には、熱帯雨林の急激な減少や、酸性雨等による森林の減少・劣化などにより地球規模での森林管理問題が顕在化する中で、わが国においても林業の低迷に伴う森林管理問題が表面化したり、自然保護問題などが顕在化しました。その中で、昭和61年に国土緑化推進委員会(現国土緑化推進機構)が設置した「21世紀の森林づくり委員会」は、これからの日本の森林の維持管理の方向性としての「国民参加の森林づくり」の概念を提唱し、多様な主体の参加した森づくり活動が各地で芽生えることとなりました。

地球環境保全に対する興味・関心の高まり

特に、平成年代に入ると、「環境と開発に関する国際連合会議(地球サミット)」(平成3年)や「地球温暖化防止京都会議」の開催(平成9年)等により、世論の地球環境保全に対する興味・関心が飛躍的に高まりました。また、「阪神・淡路大震災」(平成7年)及び「ナホトカ号海難・流出油災害」(平成9年)を契機として、ボランティア活動の重要性と機能性に対する社会的認知が飛躍的に広がりました。

深まりを見せる森づくり活動

その中、平成7年に「緑の募金による森林整備等の促進に関する法律」が制定され、平成13年に施行された「森林・林業基本法」において、国民等による自発的な森づくり活動の促進に係る内容が条項化され、わが国の森林政策においても「国民参加の森林づくり」が明確な位置付けがなされました。その結果、平成9年に277団体であった森林ボランティア団体は、平成18年には1,63団体となり、9年間で約6倍へと飛躍的に増大し、活動は裾野の拡がりとともに深まりをみせるようになりました。

新たなステージへと向かう、国民参加の森林づくり

森林ボランティア活動は、量的な拡がりに加えて、その活動内容は身近な里山林や上流域の水源林等の整備・保全を行う活動を中核としつつも、子どもの環境教育や地域の伝統文化の伝承を目指す活動、地域材や森林バイオマスの利用を目指す活動、都市と山村の交流や地域活性化を目指す活動、そして政策提言からネットワークづくりなどまで、様々な活動へと拡がりをみせています。

そしてその活動主体も、森林問題に危機感を有する一般の市民や地域住民等の個々人を主体とした活動から、他分野のNPO、学校、下流域の市町村、そして企業・労働組合等と、幅広い主体の組織的な参加が進むようになってきました。

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さらに、近年は森林NPOも実績を積み重ねる中で、行政から委託事業を請ける団体や、企業と協働で森づくり活動を行う団体、さらには学識経験者等と協働で新たな先鋭的な森づくり活動に行う団体などが各地で芽生え、今後の日本の森づくりを検討する際に欠かすことのできない主体として認識されるようになってきました。特に、森林ボラティア団体等の会員は、行政に対しては納税者や有権者として、企業に対しては消費者や株主としての表情を併せ持った母集団であるため、今後の森づくりの推進に向けた世論形成や木づかいの推進に向けたグリーンコンシューマー運動の定着に向けては、様々な可能性を有している母集団であるといえます。

そこで、上記の特徴を有する市民を含めた産官学民の多様なセクターが「国民参加の森林づくり」に参画する動きが 広まっている状況を踏まえて、今後は立場や役割が異なる各セクターの主体間のパートナーシップが促進され、それぞ れの“強み”を活か合い、高め合うことができる新たな機能的・発展的な「国民参加の森林づくり」運動が展開され ることで、「循環型社会の形成」に貢献する「持続可能な森林管理」を実現する新たな社会経済システムが構築され ることが期待されています。