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企業の森づくり

事業事例

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木製品や植樹を通じて地域とマイレージ会員をつなぐ 「ANA SOCIAL GOODS プロジェクト」

令和3年度林野庁委託事業「国民参加の森林づくり総合推進事業報告書」より

事業(活動)の内容・仕組み

ANA が地域のサステナブルな商品を中心に ANA マイレージクラブ会員(約 3,702 万人 )に紹介し、販売する「ANA SOCIAL GOODS」は、地域生産者とユーザーをサステナブルな商品で繋ぐことで心豊かな社会の共創を目指すプロジェクトである。商品の選定には独自の基準(商品そのものの良さに加え、社会性、環境、地域貢献など)を設けており、商品は ANA マイレージクラブ会員 EC サイト「ANA STORE」を通じて販売され、また、貯まったマイルで商品と交換することもできる。

商品提供者は小規模事業者が多いため、資金やノウハウの観点から、ANA が ANA マイレージ会員に訴求することでマーケティング支援を行い、また ANA は独自のサステナブルな商品を紹介することで他社との差別化を図り、ユーザーが素晴らしい商品を手にすることで心豊かになることを目指している。
この ANA SOCIAL GOODS では、森林に関わる商品のいくつかを EC 販売している。

<商品例>

1.「TSUMIKI」
森林保全団体「more trees」が制作する、建築家 隈研吾氏デザインの諸塚村のスギを使った積み木「TSUMIKI」。森林は増やすだけでなく適切な木材利用によるお金の循環が必要であり、ANA が販売することで森林の育成、地域への貢献を果たしている。団体の代表である音楽家 坂本龍一氏にも取材、コンテンツとして森林育成の重要性を語っていただき、単なる商品だけでなくそのストーリーも合わせて紹介することで ANA マイレージクラブ会員に「心の豊かさ」を提供している。

2.「エアポートつみき」
サステナビリティ教育を推進する株式会社 TREE が提供する ANA 限定商品「エアポートつみき」は、北海道の木材を利用し、障がい者支援を行う十勝にある工房で制作されている玩具。親子で「木育」ということも意図している。

3.「Present Tree」
「Present Tree」は、荒廃里山や被災林など森作りが必要とされる地域への植樹による森林再生活動を行う団体。その名称、そして「人生の記念日に樹を植えよう!」との合言葉が示すとおり、記念樹を植えて、それを大切な人へのプレゼントとし、里親になってもらう仕組み。植樹された樹は植えられた区画が分かるよう電子識別ナンバーをつけ、番号を記載した植林証明書を発行。各地での活動は地元行政・林業従事者との 10 年間の協定に基づき、植えた樹は協働先により 10 年間保育管理される。

事業(活動)をはじめた背景・理由・経緯

ANA マイレージクラブの理念として、ユーザーに「これからの豊かさ」を提供することを目指していくうえで、単なる航空輸送だけではなく人の想いも運びたい、物販においても「心ある生産者の商品を心ある消費者に届ける」という循環を ANA マイレージクラブ内でつくり、それを世界に広げていきたいという考えで開始。他の EC との差別化も狙いとする。

事業(活動)をスタートするまでの経過

企画段階からデジタルマーケティング支援会社メンバーズの協力を受け、コンセプト立案、商品選定基準制作、商品選定、仕入れ交渉を行った。社内での理解は理念に基づくプロジェクトでもあり特に問題なく進められた。今回紹介した森林関係の商品は、初めての NPO との協業でもあったが、お互いの共感が醸成できたのでスムーズに進めることができた。

事業(活動)の成果・効果

売り上げは、商品によっては他の同様の商品と比べ堅調。多くのユーザーが商品とそのストーリーに共感している結果が現れていると考える。また、ANA SOCIAL GOODS 購入者は ANA マイレージクラブ会員の中でも優良会員が多く、ユーザーとの関係強化にもつながっている。ANA がお世話になっている地域への貢献もできていると実感している。
2016 年に開始したプロジェクトだが、ここ数年で SDGs の認知拡大と共にこのような商品への注目されていることも追い風になっているのではないか。

今後の展開方向

このような商品が売れることで、地域の素晴らしい生産者や環境にお金が還流し、ユーザーも心豊かになり、ANA のビジネスも伸びるという、関係者全てが「豊か」になるビジネスモデルをどんどん広めていきたい。また、ANA SOCIAL GOODS で販売している商品の生産地にも足を運んでもらうなど、体験型の商品開発にも力を入れていきたい。
ANAは、持続可能な航空燃料(SAF:Sustainable Aviation Fuel)の利用促進など航空機事業でも脱炭素社会に向け積極的に取り組んでいるが、非航空事業(ライフサービス事業)でも脱炭素社会に貢献していきたい。

事業の課題

この事業はビジネスなので、良い商品を増やし、売り上げをしっかりと上げていくことが重要。以前と比較してこのような商品への関心は高まってきているが、売り上げの点ではまだまだ改善の余地がある。売り上げが上がれば上がるほど地域経済の活性化に貢献するとともに、ユーザーは素晴らしい商品を手にすることで心豊かになり、その結果「三方良し」の好循環に繋がると考える。