企業の森づくりサポート制度

全国各地で提供されている、 特色ある「企業の森づくり」サポート制度を、都道府県別にご紹介します。

奈良県 大和ふれあいの森づくり

歴史ある林業地での森林整備や里山での協働

地域と森林の特色

奈良県の自然環境と森林文化

朱雀門(県産ヒノキを使って復原)

朱雀門(県産ヒノキを使って復原)

世界最古の木造建築「法隆寺地域の仏教建造物」、紀伊山地の参詣道のうち「大峯奥駈道」「熊野古道小辺路」、「古都奈良の文化財」という3つの世界遺産を有する奈良県。森林が県土の8割を占め、林業のはじまりはおよそ500年前にまで遡るともいわれています。長く受け継がれてきたその文化、自然と共生してきた営みは、都市に近接する原始林として世界的にも貴重ともいわれる春日山原始林、南部の吉野山地、わが国最大の現存する太平洋型ブナ林がある大台ケ原など、他に類を見ない多様な自然環境と動植物が織りなす姿が今もなお残されています。

森林の恵みを余すところなく活かす ~吉野の林業文化~

奈良県北部は、奈良盆地の四方を里山を中心とした山々が囲む低地帯です。一方、東部や南部の山間地域では、高標高地を中心にブナ、ミズナラなどの温帯性の落葉広葉樹林からトウヒ、シラビソなどの亜寒帯針葉樹林までの自然植生が残されています。また、他の地域にはスギ、ヒノキの人工林が広がっており、「吉野林業」の中心である川上村などでは、今でも250年生のスギ人工林を見ることができます。

吉野地方では1500年頃に造林が行われていた記録も残されており、豊富な水、保水と透水性に優れた土壌といった条件と、吉野独自に培われた育林技術により長きにわたり優良な木材を生産し続けてきました。江戸時代には、節が無く板目が真っすぐで年輪幅が均一で強度がある吉野杉から酒の醸造樽や桶が多く作られ、その香りの良さは伏見・伊丹・灘の酒が広まることにもつながったともいわれています。また酒樽の材料の端材が捨てられるのを惜しんで考案されたわりばしは「吉野わりばし」として広がり、そこには森林の恵みを余すところなく活かすという先人の知恵が生きています。

企業の森づくり

「大和ふれあいの森づくり」事業がスタート

現在でも吉野のスギやヒノキは、高級な建築用材として使用されることの多い木材ですが、社会構造や生活様式の移り変わりとともに、手入れが遅れた人工林が増えつつあるのが現状です。また北部の里山林や竹林においても、人的関与がなくなったことから、常緑広葉樹などが侵入・繁茂し、従前の森林環境が保たれなくなってきているところが増えてきています。

森林整備活動の二つの入り口

ヤマザクラ苗木の植樹 (サクラの名所「吉野山」にて)

ヤマザクラ苗木の植樹
(サクラの名所「吉野山」にて)

「大和ふれあいの森づくり」事業では、幅広い企業の皆さんに参加していただけるよう、県の東南部を中心とした奥山での人工林整備活動と、県北部の大和平野周辺を中心とした里山でのNPO等との協働による森づくり活動という2つの方向性をご用意しています。また活動へのサポートとして、森林環境教育で実施している指導者養成や体験研修への参加、安全作業講習のコーディネートなども行っています。

林業が綿々と続いてきた東部や南部の山々と、都市近郊の里山の双方が奈良県の大きな特徴です。当事業へのご参加を通じて、環境との多様な接点を感じていただき、様々な野生動植物の生息地でもある森林の生態系も含めて、企業の皆様と守り育むことにつなげていければと願っています。

地域での取り組み
~川上村・「樹と水と人の共生」をテーマに~

樹齢380年のスギ(人工林)

樹齢380年のスギ(人工林)

村の中心を吉野川が流れる吉野林業の地、川上村。吉野川は川上村を南北に流れやがて西に流れを変え、和歌山県に入ると紀の川と名前を変え遠く紀伊水道に流れ込んでいきます。急峻な地形は雄大な渓谷美や大小さまざまな滝を生み、石灰岩質の地質は神秘的な鍾乳洞となって村内に点在しています。川上村は水源地の村であることの役割をかんがみ、「樹と水と人の共生」をテーマに早くから環境保全への取り組みをはじめました。

平成7年には、日本最古の人工林を今に伝える「歴史の証人」である、樹齢280年〜380年のスギとヒノキの人工林を村で購入、「自然環境を活用し、自然と人との間に立ち、自然のコトバを人の言葉に『通訳』する役割を果たす場所」として活かし続けています。また、吉野川の源流部・三之公川流域の一帯に残されていた手つかずの天然林を後世に残すため、約740haを購入し、「吉野源流—水源地の森」として保存し、保全の第一歩として詳しい生態系調査を進める一方で、村内外の人に森の美しさ、森の大切さを伝える森林学習の場として活用し、森と水の源流館を中心にその取り組みを発信しています。

企業の皆様へ

ひと口に森林を守り育むと言っても、その方法はさまざまです。たとえば、大和平野の里山ならカブトムシなどの昆虫をよぶクヌギを育てる森づくり、吉野山地の奥山に生息するツキノワグマなどにスポットをあてるのであればブナ、ミズナラなどを育む森づくり。一方、吉野林業の象徴、酒樽の材料となる吉野スギを守り育てることは、日本の醸造文化を守ることにもつながるものです。企業の皆様とは、奈良県の伝統ある林業と、多様な森林植生と動植物の生息地など独自の特色を活かし、将来に引き継ぐべき森のすがたを見つけるお手伝いをしながら、森林づくりをご一緒していきたいと考えています。

制度概要

※平成29年6月30日現在
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● 制度の名称:「大和ふれあいの森づくり」
● 制度導入年:平成20年
● 対象森林:県有林、市町村有林、私有林
● 契約年数:基本は5年以上
(植栽の場合は10年以上が望ましい)
● 協定締結状況:2企業・団体
● 評価制度の概要:
○CO2吸収量の認証
(第三者機関による評価について検討中)
● その他支援概要:
ボランティア団体・NPOとの
コーディネート、
森林環境教育の指導者等の紹介等、宿泊施設等の紹介等
森林作業の安全研修や森林環境教育指導者養成研修等の開催

お問い合わせ先

<行政>
奈良県農林部森林整備課 森林環境係
● 住所:〒630-8501 奈良県奈良市登大路町30番地
● TEL:0742-27-7612
● FAX:0742-22-1228
● E-mail:shinrin@office.pref.nara.lg.jp
● ホームページ:http://www.pref.nara.jp/8954.htm

<民間>
(財)奈良県緑化推進協会 事務局
● 住所:〒630-8301 奈良市高畑町1116―6 なら土連会館
● TEL:0742-24-0200
● FAX:0742-24-2110
● ホームページ:http://www.nararyokuka.org/about_b.html