森づくり活動チェック!環境貢献度etc

『キリングループの「水源の森づくり」活動について』

林 万喜子(キリンホールディングス㈱CSR推進部社会環境室)


林 万喜子さん


キリングループの概要

キリングループは設立が1907年2月23日で、本日が100周年の末日にあたり、明日設立101周年を迎えます。グループ連結として現在345社、従業員は27,543人で、キリンビール単体では3,440名です。

キリングループの組織は、昨年の7月にホールディング体制に移行しました。純粋持株会社であるキリンホールディングス、コア事業として酒類事業のキリンビール、メルシャン等、清涼飲料のキリンビバレッジがあり、また食品事業にはキリンフードテック、ヤクルトネクストステージ、長野トマト等が、さらには医薬事業にはキリンファーマといった会社があります。

グループの経営理念として、『キリングループは、自然と人を見つめるものづくりで「食と健康」の新たなよろこびを広げていきます』と掲げています。これも昨年刷新したものですが、大麦やホップといった植物を原料にし、水や酵母の発酵の力をつかって商品を提供し、美味しさ、喜びに貢献していくといった理念については、昔から変わりはありません。


CSRとしての水源の森づくり

キリングループでは、CSRを社会から信頼いただくための取り組みと捉え、①コンプライアンス・品質保証・アルコール関連問題など企業として基盤となる取り組み、②地球環境保全・食文化振興・スポーツ支援など社会とのコミュニケーションを深める取り組み、③社会貢献、ボランティア支援など社会との共生を目指す取り組み、の3つに取り組んでいます。

水源の森づくりは、②の地球環境保全と③の社会との共生を目指すという両者に関わる取り組みとして、キリングループでも重点的に取り組んでいるものです。

キリングループは、水不足の年などには取材を真っ先に受けるくらい、大量に水を使うと皆さんに見られている会社です。キリンビール、キリンディスティラリー、キリンビバレッジの3社で、年間に2,000〜2,500万m3使用しています。他の会社も含めて水使用量を年間3,000万m3とすると、林野庁の資料から換算すると、90,737haの森林の恩恵を受けていることになります。この面積はキリンビールの主力工場である横浜工場の422倍の面積ですし、東京都の41%、高知県の13%、長野県の7%に相当します。ですからキリングループにとって水源の森づくりは社会的責任である、という認識に立って、森づくり活動を行っています。


水源の森・水の恵みを守る活動を全国1,000haで展開

水源の森づくりは、99年にキリンビールの横浜工場より手掛け始めました。1年1工場ずつ増やしていましたが、途中で加速しまして、2006年には全国のビール11工場全てが水源の森活動を開始しています。2006年にはキリンディスティラリーの「キリン富士山麓水源の森」、キリンファーマの「キリン高崎の森」の活動も開始しており、グループ展開も図られているところです。富士山(43ha)、琵琶湖(860ha)の2カ所を、東西の拠点と位置づけています。

また、工場の水源の森の他にも、高知支社の「たっすいがは、いかん!の森」、鹿児島支社の「屋久島保全活動」のようなものがあり、これらを総称して「水の恵みを守る活動」と言っています。工場のみならず、支社等他の事業所にも森づくり活動が広がりつつあるのです。

現在の活動面積は合計で約1,000haとなっており、基本的には工場の上流、車で1〜1.5時間程度のところに水源の森は所在しています。運営の基本形としては、工場が事務局となって本社や支社、近隣のグループ会社、事業所に活動を呼びかけ、グループの交流ができるような活動になっています。99年からの累計参加人数は1万人に達しています。


水源の森活動には安全配慮を徹底

水源の森の活動は、何より安全第一を心掛けて行っています。

全社的に『環境活動の安全ガイドライン』を共有しており、また作業内容を決めたら専門家のアドバイスをいただき、除伐や枝打ち等の高度な作業を行う場合は年齢制限をする場合もあります。

各地の事務局は活動前に行程・活動地のリスクアセスメントを行い、近隣病院の確認、携帯がつながらないところも多いのでトランシーバーのレンタル、控えの工場との緊急連絡が取れるような体制づくり等を行っています。また個人情報セキュリティの観点から、点呼・緊急連絡用の名簿の数や、誰が持っているかということを確認して、徹底した管理を行っています。

昨年は100周年ということで、全社員が水源活動に参加しようという呼びかけをして、前年比の倍くらいの活動回数と4,270名の参加者がありましたが、事故ゼロで終えることができました。


地域NPOや森林組合と社員とが協働で作業

水源の森・水の恵みを守る活動の取り組み方として、高知県の「たっすいがは、いかん!の森」のように自治体とのパートナーの形をとっているものが、北から群馬県、神奈川県の2カ所、兵庫県、滋賀県、高知県の6カ所あります。特に高知県は森林率だけではなく、個人のお酒の消費量も日本一で、キリンビールも非常にご愛顧いただいています。

また、これまでいろんなパートナー協定や国土緑化推進機構の体験林業申請で活動をしていましたが、100周年記念として、より長期の取り組みにしようということで、2006年、2007年には7カ所の「法人の森」を契約し、7年から最長60年のインフラを整えています。

このように2つの形のインフラがありますが、活動そのものは、いずれも地域NPOや森林組合と社員ボランティアとの協働作業となります。具体的には除伐、つるきり、枝打ち、下草刈りといった森林保育活動がメインですが、植樹も行っています。その際、樹種の選定は森林管理署や組合、NPOのアドバイスを受けて、基本は地域植生の尊重ということで、北ではカンバやエゾマツを、南ではシラカシ、スダジイ、ケヤキ等を植えてきています。広葉樹を植えて人工林、針葉樹林を混交林に移行するといった傾向です。

また場所によっては、緑の少年団やホームページ等で公募した参加者、あるいはお得意先のスーパー等の募集で参加してくださる一般の方々、そして社員の家族の小学生等が中心とした環境教室等も行っており、巣箱づくりや巣箱かけといった活動を行っています。


除伐作業を行うキリンホールディングス加藤社長


参加者の反響は上々

参加者していただいた方にはアンケートをお願いしています。

このアンケートには「二度と行きたくない」という設問も設けていますが、それを選んだ人はゼロ、「良かった」が8割以上で、大変好評です。「地元NPOの活動が大変だということがよく分かった」「子供が自然環境に関心を持つようになった」「ストレス解消になった」といった声も寄せられています。

改善要望として、「活動時間が短すぎる、もっとやりたい」「もっと本腰の活動にしなくても良いのか」といった意見が寄せられています。極めて真面目な声が多いようです。


キリングループOBの環境活動

OB活動の例として、高知県の「たっすいがはいかん」の命名者、宮本さんについてご紹介します。

この方は広島に始まって転勤6回目で高知支社長を務められました。それで「たっすいがはいかん」のキャンペーン等に活躍されていたのですが、そろそろ異動という声が出てきたときに、奥様から「お父さん、今度は1人で行ってよ」と言われたそうです。ご家族はとても高知を気に入られて離れる意思はないということで、宮本さんは早期退職を選ばれました。そして世話になった高知県への恩返しとして、水源地植林やアユの放流など自然保護のNPO代表として活躍されています。


CO2吸収証書キリングループOBの宮本さん


水源の森活動以外の森づくり支援事業

お客さまが参加できる森づくり支援活動として、キリンホールディングスのホームページ上に「エコジロー・クリック募金」を設けています。これは、お客さまが画面に従ってクリックすると、1クリック=1円を緑の募金や環境保護団体に寄付するというものです。ぜひ、お時間のあるときに試してみてください。

また「コラボ倶楽部」という名前で、従業員のボランティア活動をマイレージする仕組みを設けており、ボランティア活動でたまったポイントを会社が環境保全団体に寄付しています。


エコジロー・クリック募金

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