『「京都モデルフォレスト」運動の推進』
川戸 修一 (京都府 農林水産部 林務課 モデルフォレスト推進室 課長補佐)
川戸 修一さん
京都府の森林の情勢
京都府は森林が75%を占めていますが、全国共通ですが放置されている人工林や里山が増加しています。一部には不適切な開発等によって災害が発生する事例も起きています。
一方、内閣府の『森林と生活に関する世論調査』によると、国民の大半が温暖化防止に関心を持ち、公益的機能を重視して森林整備をすべきだと考えており、5割を超える国民が「森づくりに参加したい」との意向を示されているようです。府内でも南部を中心に森林整備に取り組むボランティア団体、あるいは企業の皆さんが森林整備にご協力いただくという事例が増加しています。
京都モデルフォレストとは
このような状況で、私どもは一昨年からモデルフォレスト運動を本格的に開始しています。そもそもモデルフォレストというのは、1992年に世界地球サミットがリオデジャネイロで開催された時に、カナダがパートナーシップによる環境保全運動として提唱したものです。私どもは非常にその取り組みに感銘し、府民運動として京都の森林を守っていこう、これを「京都モデルフォレスト」という名前を付けて推進しよう、ということで取り組みを始めました。
当面は森林整備を中心として環境保全運動を推進していこうと思っていますが、それをさらに広げて、農地や河川、地域一帯となった環境保全運動を展開して地域振興にもつなげたいと考えています。
この運動を推進するために、一昨年の11月に(社)京都モデルフォレスト協会を設立しました。府民の皆さんや企業、いろんな分野の団体の皆さん、大学、行政等に構成員になっていただき、文字通り府民みんなで運動を盛りあげていこうという取り組みです。
現在の組織体制は、特別顧問には元林野庁長官の小澤普照さんに、また22名の理事にお世話になっています。理事長は京都商工会議所の副会頭で京都銀行頭取の柏原康夫さんです。理事会の下には、企業からいただいた資金をどうするかという「森林づくり基金運営委員会」と、協会では緑の募金を業務として行っているために「緑の募金運営協議会」を設けており、協会の活動等に対するご意見もいただきながら、協会の取り組みを進めております。
昨年末現在で342の会員にご協力をいただいており、そのうち企業会員は92社となっています。
京都モデルフォレスト協会の仕事
協会の主な仕事としては、森づくり活動を希望する企業へのフィールド斡旋、募金や森林整備のための資金提供のお願い、森林体験教室やシンポジウムの開催、広報誌等での情報発信などを行っています。
企業の森づくりに関しても、事前に森林所有者や市町村、森林組合等からフィールドを提供いただいて、森林整備を希望される企業にフィールドを紹介するといった仲介を協会が行います。また、企業が森林整備活動を行った場合には、例えばスギ林1haの間伐を行った場合は約12tのCO2吸収に貢献していただいたということを認証する、京都府独自のCO2吸収量の認証制度を設けており、協会がそれを運用しています。
企業の皆さんからは、場合によっては資金を提供していただく場合もございます。これを一手に協会が受けて、企業や地元の意向に沿うような形で、単なる木材生産ではなく「文化の森」とか「景観保全の森」といったいろんな観点からの森づくり資金として活用させていただいております。
具体的な活動事例
長岡京市の西部に800haのエリアを設定し、森づくりに取り組んで2年になります。森林所有者はもちろん、大学の先生、企業、ボランティア団体をメンバーとする「西山森林整備推進協議会」を立ち上げ、その下にワーキング会議を設けています。さらにその下には、例えば環境教育、竹林、基盤整備、里山といった専門部会を設け、文字通りみんなでいろんなアイデアを出し合いながら、森林整備を進めています。
また、京都府の大山崎町と大阪府の島本町にまたがる天王山でも、250haを対象としてモデルフォレストの取り組みを進めています。ここでも「天王山周辺森林整備推進協議会」をつくりまして、大阪府と京都府の様々な団体、京都大学、天王山の麓にウィスキー工場を持つサントリーにご協力をいただきながら、森づくりを進めています。
大文字の送り火で有名な大文字山の麓では、NPO団体が中心となって、府民による草刈り活動等を行っています。こういった地道な活動があって、皆さんにきれいな送り火を見ていただけるわけです。
その他にも各地で、間伐を企業の皆さんにご協力いただいて行ったり、漁業関係者に森づくりをご協力いただいたり、平成16年の台風被害の復興や、野生動物の暮らせる森づくりを府民に方々にご協力いただいたりしています。
そういったハードだけではなく、里山整備フォーラムのようなソフト事業も展開しております。さらには普及啓発活動として、シンボルマークの募集、募金活動、ボランティアの皆さんとの情報交換、間伐・枝打ち等の体験教室や野鳥や樹木の観察等の開催等を行っています。
森林ボランティア円卓会議
森林整備体験教室
企業には植林よりは手入れ作業の協力を
現在府内では、14の企業に森づくりにご協力をしていただいており、近々20社を超える予定です。
活動の中身は千差万別で、植林をやっていただく場合もありますし、竹林整備、人工林の間伐・枝打ち、広葉樹整備等、いろんなメニューでご要望にお応えする形でやっております。ただし、植林の場がないわけではありませんが、やはり今は荒れた人工林や竹林等を地域の方のご要望に添うような形でキッチリ管理することにお手伝いいただきたい、ということで最低5年、一般的には10年の取り組みをお願いしています。
基本的には京都府と京都モデルフォレスト協会、該当する市町村、企業の4者で、企業の取り組みを応援していこうという応援協定を、調印式も含めて行っています。それ以外にも、土地所有者と企業で約束事をペーパーで交わしていただいています。
京都府は、京都議定書のまさに締結の地でもあります。また、京都モデルフォレスト運動は、カナダにあるモデルフォレストのネットワーク事務局(現在19カ国40地域が参画)への参画に内諾をいただいており、国外的にも京都の取り組みをアピールしたいと頑張っております。そういった意味からも、ぜひご支援いただけますよう、お願い致します。


