森づくり活動チェック!環境貢献度etc

東京都「東京グリーンシップ・アクション」(都・NPO連携型)

東京都「東京グリーンシップ・アクション」(都・NPO連携型)
 矢尾板 恭子(東京都環境局自然環境部緑環境課保全係 主任)


保全地域の活用で企業とNPOと都が連携

 自然環境問題は、かつては自然と人とが一緒に暮らしていたのに、人の生活が変わったことによって手入れがされなくなったことが大きな問題です。人と自然の関わりが途絶えたところをもう一度、現代なりのやり方で結びつける必要があるのではないかと思います。そして、そのことについて実際に実行しているNPOがたくさんできていますし、企業の環境貢献活動や社会貢献活動も活発になってきています。それらを全部合わせて自然環境の保全を図れば、一層輪が広がって自然にとってもよいことが進められるのではないか。それを事業化したもののひとつであり、「保全地域」で企業とNPOと東京都が連携して、自然環境の保全体験や自然に親しむ活動に取り組む活動が「東京グリーンシップ・アクション」です。

 現在までに46カ所指定されている「保全地域」とは、東京都が条例に基づいて都内に残る貴重な自然を、その保護や回復のために指定をした地域です。東京都の緑の量自体の減少に歯止めを掛けようということもあり、保全地域の数は順次増えてきています。これに指定されると行為制限がかかるため、地権者から買い取り請求を受けた場合は都が買い取って公有地化をすすめ、あるいは地権者から無償貸借という形で契約を結んだ場合は、保全事業を都の資金で行っています。

多くの人に自然に関わってもらうことが目的

 仕組みとして登場するのは企業、NPO、そして東京都の三者で、それぞれがどういう役割を果たすかを書面で交わし、協定を結びます。  その役割として、企業からは、まずは資金の提供をいただきます。1回の活動に対する資金ですから25〜50万円程度で、他社と一緒にやるという形で半額でも可という提案をします。そして、実際に社員をその場の活動に連れてきていただきます。NPOは、保全活動の企画から当日の運営までを担当します。そのための費用は、企業からの資金を活用します。東京都は活動場所の提供ということで保全地域を使っていただき、道具類を提供させていただいています。また、1回あたり50人を上限として活動する活動ですので、社員だけで50人に満たない時には、都民一般の方に広く参加者を募集しています。

 プログラムは、NPOが企業の要望を聞きながら、地域の自然特性や必要な保全作業、参加者対象を考えて作成します。ちょっとしたお楽しみとして、おやつタイムや、持ち帰られるおみやげ(コースター等)も用意します。

 東京都としては「保全地域の整備をしてもらいたい」ということが目標ではありません。「企業の呼びかけによって、より多くの人に緑や自然に関心を持って、実際に関わりを持ってもらいたい」ということが本旨です。

多くの企業からの反響

 企業への呼びかけは、例えば「エコプロダクツ2006」では開催期間中の会議室のセミナーで紹介をしました。都庁では年に1回の報告会と募集時期に合わせて募集内容の説明を行っています。これについては来年度も同じように行う予定です。また、「体験で1度来てみませんか」ということで、活動には他の企業の担当者を受け入れています。一般都民の方へは、ホームページでの活動報告をしたり、例えば保全地域の近隣のイベントに参加してお知らせをしています。そのようにして、「興味はあるけれどどこに行けばいいのか分からない」という人や企業をお招きしているのです。

 19年度は、46カ所ある保全地域の中から9つを選び、そこを4つのNPO・団体で運営しています。そこに22社2団体が関わり、これまでに43回実施しました。この事業が開始された平成15年度には1地域1社で3回実施し、平成17年度以降は年1回公募をしています。特に19年度は予想をはるかに上回る企業が殺到して実施地域を追加しないと断らざるを得ない事態になってしまったため、急遽2地域を追加して、9地域となりました。

 活動地域を選ぶ上で重要なのは、その地域に継続して活動しているボランティア団体がいることです。年に1回だけの参加という方も多いので、「普段はこういう作業をして、こういう事を目標にしています。今日はみなさんにこういう部分を担っていただきます」ということが説明できないと、参加者は何をしたのかがわからないし、やりがいも湧きません。ボランティア団体にとっての副次的効果として、NPOから謝礼が支払われるようにしているので、ボランティア団体も活動の継続が図れるようになりますし、会社の方と触れあうことで新sたな会員獲得につながるということもあるようです。

環境部門CSR活動が初めての企業にも参加しやすい仕組み

 これだけ多くの企業が参加してくれたことを分析してみますと、環境部門のCSRとしては非常に分かりやすいということがあるのではないかと思います。まず、料金がパッケージ化されていて低額であり、12万5000円から参加できます。企業にとって役割の負担が少ないことも挙げられます。活動は日帰りですし、協定書も1年間になっていますので「とりあえずやってみよう」ということができます。お金を出して社員や参加者を集めればいいので、役割もわかりやすくなっています。運営団体も東京都が紹介しているので信頼がおけることから、安心して参加できるようです。

 また、企業がこの事業に参加することの効果としては、レクリエーション効果や社員の一体感が生まれること、また、普段は出会わないような異業種や、同業種でも普段は競合するような会社が一緒に活動することで予想外の話題が出たりすることが挙げられます。

“地域バランス”と“多様なニーズ”への配慮が必要

 課題のひとつに、企業の活動希望地域が偏ってしまうことがあります。その最大の理由はアクセスであり、企業からの要望は「とにかく駅から近いところ」ということになります。例えば唯一の森林環境保全地域である青梅の上成木に多くの方に来て欲しいのですが、ここで活動するには最寄り駅から貸し切りバスが必要で、費用が倍になってしまいます。またトイレがないのでテント型トイレを持ち込んでいますが、特に女性にとってはそれが敬遠される原因になっているようです。それぞれの地域に魅力があるので、そういうことをこちらがキチンと伝える必要があると考えています。

 ニーズへの対応も課題です。19年度は、18年度の企業が全部継続し、プラス新規の企業が来たので、企業数がほぼ倍になりました。そうなると単純に調整量が増加しますし、日程のバッティング等が出てきて調整が難航してししまいます。調整は時間をかけてきめ細かにやった方がよい結果が生まれるのですが、調整のきめが粗くなったり劣化することで事業自体の評判が落ちたりするのは避けたいところです。また、東京グリーンシップ・アクションの枠のなかで継続企業から「こんなことをやりたい」と独自の企画を提案されても、なかなか対応できない部分があります。そういう意味では、継続企業に対しては、今までの手のかけ方ではなく、企業がやりたい形を叶えつつ、より自立していく形を用意する必要があるのかもしれません。

一段低いステップを用意することでの企業集め効果

 東京グリーンシップ・アクションは「企業の森」等に挑戦する企業よりも半歩手前という感じの部分だと思っていただければよいと思います。もし、他の都道府県で「企業がなかなか来てくれない」ということがあるのならば、まずはその場に来てもらって愛着を感じてもらったり、まずはこちらが望むよりも低めのステップを用意することもよいのではないか、という提案をもって締めくくらせていただきます。


青梅上成木での活動の様子





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