とやまの森づくりサポートセンター
(県・サポートセンター設置型)
とやまの森づくりサポートセンター(県・サポートセンター設置型)
須沼 英俊(富山県農林水産部森林政策課森づくり推進班 班長)
既存の森林ボランティア団体等の支援を通して、森づくりへの県民の意識を高め、新たな団体の設立や個人、企業等の参加を促し、県民参加による森づくりを推進するために平成17年10月3日に設立された「とやまの森づくりサポートセンター」。その取り組みをご紹介します。
サポートセンター設立の経緯
平成16年は全国的にクマが里におりてきた年で、本県でも24名の方が人身被害に遭われました。また流木被害や風雪被害林の発生が多い年でもあり、「富山の森林に何か変化があるのではないか」とマスコミ等を大いに賑わせまし た。
そういったことから、「従来の木材生産を主体とした事業では富山の森は守れないのではないか。県民全体で富山の森を支える必要があるのではないか」という観点から、平成17年の5月から“とやま水とみどりの森づくり検討委員会”を立ち上げ、検討を進めてきました。検討にあたって、県民や森林所有者の意識調査も行いました。その結果「富山の森づくりを県民全体で進めるためには新たな負担があっても構わない」という返答が条件付きを含めて84.5%と多かったことなどもあり、平成19年4月から“水と緑の森づくり税”が導入されたのですが、その結論が出る前に「ボランティア活動は先に進めてもよいのではないか」ということで、中間報告に基づいて平成17年10月に“とやまの森づくりサポートセンター”が設立されました。そして、その活動の拠り所として平成18年に“富山県森づくり条例”が制定されました。
県民の理解と主体的参画を基本理念とする条例制定
この森づくり条例は、森づくりの基本指針、あるいは基本理念と財源、基金での管理といったことをひとつの条例にまとめたものです。その基本理念は「県民の理解の下にその主体的な参画による森づくりを推進し、県と市町村、森 林所有者、森林組合、県民、事業者の適切な役割の分担と連携・協力し、進めていくこと」としています。
それぞれの主体の責務と役割が規定されており、県民については「基本理念を理解していただいて森づくりへの参加」を謳っています。第15条では、里山を「人が日常生活を営んでいる地域に隣接し、又は近接する土地に存する森林であって、人により維持若しくは管理がなされており、又はかつてなされていたものをいう」と定義し、そのなかで里山の整備・保全・利用への支援を盛り込んでおり、また森づくり活動への里山所有者等の協力ということで、フィールドとして里山を提供していただけるような体制をとることを謳っています。
さらには21条では県民等への支援のために必要な財源、透明性を確保する基金ということで県税条例の一部改正を行い“水とみどりの森づくり税”を導入し、それを管理するための基金を設置しています。
また、知事が議長となる“富山県水と緑の森づくり会議”で富山県の森づくりの基本方向を決めていただき、それに基づいて富山県森づくりプランが作成されています。その中の森林ボランティア活動支援ということで“とやまの森づくりサポートセンター”は位置づけられています。
富山県では、昭和49年に草刈十字軍が発足しています。除草剤の空中散布に反対する県立短大の教授が「対案なき反対は問題の解決にならない」として、夏休みを利用した学生による草刈りを始めたことが発端となった活動であり、現在も継続されています。これまでに延べ3万人を超える参加があり、下刈り面積は約1700haに及んでいます。
また、平成17年に行われた“水と緑の森づくりに関する県民アンケート”では、県民参加の森づくりについては9割の人が「取り組むべき」、「県民参加の森づくりに参加するか」ということでは7割の人が「参加する。できる範囲で参加する」と回答していました。富山県にはもともとボランティア活動を受け入れやすい県民性があるようです。
ボトムアップ型の運営体制づくり
県では、富山県農林水産公社にサポートセンターの活動の推進業務を委託し、サポートセンターの名前の下で森づくりボランティア活動の支援を行っています。サポートセンター所長は公社理事が、所長代理は公社森林部長があたり、実務は公社のプロパー、県派遣職員、ボランティア選抜者の3名で行っています。現在の登録団体数は41団体(2874人)、登録企業は9社、登録個人は75名です。
基本的には県が行っている事業ですが、トップダウン型の活動にならないよう、サポートセンターの懇話会ということで、登録団体とサポートセンターによる意見交換会を年度末に開催したり、サポートセンターの運営委員会では県民や有識者の方の意見をいただいたりすることで、ボトムアップ型の事業となるように心掛けています。
具体的なサポートセンターの業務内容は、(1)ボランティア、森づくりフィールド等を登録して活動を支援すること、(2)新たなボランティア団体の組織化と活動を支援すること、(3)ボランティアと森林所有者との橋渡しをすること、(4)企業の森づくりの環境を整えること、(5)必要な機器の貸し出しや保険加入の支援を行うこと、(6)専門家による技術的なアドバイスや研修を行うことです。
他にも国土緑化推進機構が提唱している森林ボランティアの日、9月の第3日曜日に、「とやまの森づくりボランティアの集い」を開催し、知事以下208名の参加を得ました。またボランティアの方の意見交換の場がネット上だけでは寂しいということで、農林公社内にボランティアの方が自由に使えるボランティア交流サロン(平日9時~17時)を設置しています。9月10日にオープンし、現在まで約170名に利用していただいています。
“水と緑の森づくり税”を活用した森づくり活動そのものが今年初めてなので、具体的な課題が出るまでには至っていませんが、いかに県民のみなさんの森づくりへの意識を喚起し、森づくりへの参加意欲の向上を図り、森づくり活動を進めていくのが課題であろうと考えています。また来年からは、将来の森づくり活動を行うボランティアの方がドンドン増えるように、サポートセンター事業とは別に行っている森林環境教育の普及啓発出前講座である「森の寺子屋」事業を、希望学校を募って小学校5〜6年生の社会科授業として実施していこうと考えています。いずれは中学校にも出掛けて、幅広い県民活動に繋げていくのが私どもの仕事かと思っております。
森づくり塾(実践編)の開催



