和歌山県「企業の森」(県・市町村・組合連携型)
和歌山県「企業の森」(県・市町村・組合連携型)
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「企業の森」とは、荒廃した森林を所有者が企業や労働組合などに無償で貸し出し、森林保全活動のフィールドとして活用してもらう事業。全国23の都道府県が同様の事業を実施していると言われていますが、その先駆けである和歌山 県の取り組みを紹介します。
移住者の就労の場づくりと荒廃森林整備をマッチング
和歌山県内の森林の7分の1、約5万2000haが今後の整備を必要としています。和歌山県はこれを環境林と位置付けて整備を進めています。そのために和歌山県は平成13年、緑の雇用事業を全国に先駆けて取り組み、都市から地方への人口流動を目指して、就業の場をつくらせていただきました。これまで家族を含めて約500人が和歌山県に移住し、現在も約260人が林業に従事されています。そうした方の就業の場を確保すること、そして荒廃森林を整備しなければならないということをマッチングさせたのが平成14年度から始めた「企業の森」です。
「企業の森」の4つの意義
企業向けに提案をする中で、私たちは「企業の森」の意義を、(1)都市生活者の田舎暮らし体験、(2)企業の環境貢献、(3)林業従事者の就労確保、(4)CO2吸収による地球環境問題の解決、としています。
都市生活者の田舎暮らし体験として説明しているのが、社員のレクリエーション、ボランティア、そして木工や竹細工といった「ほんまもん体験」です。和歌山県の観光施策の中に「ほんまもん体験」があり、昨年は県外から26万人がいらっしゃっています。「企業の森で森づくりをすれば、これも体験できるんですよ。体験メニューを通じて地元の人との交流も図れますよ」という説明をしているわけです。
企業の環境貢献としては、荒廃森林の保全を謳っています。荒廃森林のなかでも造林放棄された山に広葉樹を植えてもらい、元の森に再生していただくことを主眼にしています。間伐整備等ができる場所も用意していますが、企業からは「木を植えたい」という要望が多いですね。
林業従事者の就労確保というのは、緑の雇用で和歌山県に来られた方の就業確保です。基本的には企業と森林組合との間で森林保全の管理委託契約を結んでもらって、森林組合が実際の管理を行うのですが、これによって緑の雇用の人たちの仕事が確保され、山村後継者も育成されていくことを期待しています。
CO2吸収による地球環境問題の解決ということでは、今年から「企業の森」に参画されている企業のみなさんに、和歌山県独自のCO2吸収量の認証をさせていただいています。間伐整備に比べて広葉樹植栽ですから、どうしても面積的には狭くなり吸収量も非常に少ないので、私どもは「この活動地での100年分のCO2吸収量はこれだけあります」ということを、申請に基づいて認証をさせていただいています。18年度末の参画企業・団体数は27でしたが、その時点では4万1800CO2tという試算をしております。
企業にとっては「県がコーディネートしているから安心」
現在は、31の企業・団体に参画していただいています。活動地域は県内全域に広がっていますが、和歌山県の場合は熊野古道が世界遺産に登録されていますので、特に世界遺産の周辺地域が特に多くなっています。世界遺産の森を守るという動機付けで活動をしていただいています。
参画していただいている企業からは、「県がコーディネートしているから、安心して取り組める」と言っていただいています。
和歌山県の場合は、企業と市町村、県の3者で「森林保全・管理協定」を締結します。県と市町村が企業の活動を全面的にバックアップしますという協定で、あくまでも紳士協定です。これに基づいて、荒廃森林を森林所有者から無償でお借りする「土地無償貸付契約」を、また森林組合に施業をしていただく「植栽及び森林保全委託契約」を結んでいただきます。また、企業ごとに森林保全活動計画をつくっていただき、各協定書・契約書につけて調印をするという形になっています。候補地は現在24カ所用意しています。「企業の森」に取り組んでもらえるということになったら、まずは候補地を見ていただいて候補地選びということになります。
森林整備には造林補助金を使っています。森林組合が所有者に代わって補助金の申請をして、足らない部分を企業 に負担していただいています。

「企業の森」はみんなが嬉しい事業
企業にとってはCSRが実現できる。山林所有者は森をつくってもらえる。森林組合については仕事の場ができ雇用も創出できる。県や市町村にとっては活性化に繋がる。知事の言葉を借りれば企業の森は「みんなが嬉しい事業だ」ということで積極的に推進しているところです。
企業の森はいろんな効果を生み出しています。実際に地元で喜んでいるのは、企業の社員の若い方が来てくれることのようです。だからこそ、なんとか体験メニュー等をセットして地域の方にも参加してもらうようにしています。また、各企業の植樹イベントでは、弁当や交通手段も地元で調達してもらうといったことで、地元にお金を落としてもらっています。和歌山県で「企業の森」の経済波及効果を試算したところ(3月末現在の27団体・企業が参画)、直接投資額が約11億円、これに伴う経済波及効果が18億6000万円でした。
逆に私たちは、参画企業・団体にインセンティブを付与するということでのサポートを行っています。そのひとつがCO2吸収の認証であり、ホームページでも各企業・団体の活動を紹介しています。
CO2吸収量認証プレート
また、この10月から和歌山県と地元市町村、森林組合、参画企業・団体で原稿を出し合って『CSR WAKAYAMA』という情報誌を発行しており、参画企業・団体が特に「企業の森」以外で行っているCSR・社会環境貢献活動等を紹介することで、各方面にPRさせていただいています。
『CSR WAKAYAMA』
経済界との連携による企業誘致
企業誘致という点では、7月に経団連の自然保護協議会の方々に和歌山に来ていただいて企画部会を開催し、実際に「企業の森」の事業地を見学していただいてPRしています。また10月には(社)関西経済連合会の場所をお借りして、知事が直接企業に説明をさせていただきました。また、昨年は約1000社にDMで提案書を送らせていただいて、説明を聞いていただけるところは直接企業を訪問して説明をさせていただいています。


