「府民ぐるみの森づくり」(府・府緑推一体型)
-京都モデルフォレスト協会
「府民ぐるみの森づくり」(府・府緑推一体型)-京都モデルフォレスト協会
田村 敏((社)京都モデルフォレスト協会 事務局次長)
京都府と連携し、企業、団体等との協力のもと、府民ぐるみで京都の森林を守り育てるモデルフォレスト運動を推進する京都モデルフォレスト協会の取り組みについてご紹介いたします。
京都府の森林の課題と展開方向
京都の森林の情勢は他府県と同様で、林業の低迷から森林整備がされない地域が増えています。荒廃森林等の整備、放置竹林の拡大、植林放棄地増加、風倒木等被害森林復旧等の課題に対して、京都府独自の「緑の公共事業」として平成14年から「多面的機能の高度発揮のための森林整備・管理」を進めており、これを中心に造林補助事業や治山事業等による森林整備をしていました。
一方で、府民協働による森林整備の推進を進めていかなければならないという課題があり、この部分が京都モデルフォレスト立ち上げや「豊かな緑を守る条例」制定のきっかけとなりました。
また、森林の管理・整備の担い手と費用の確保という課題から、森林組合の経営・指導力の強化、新たな財源のあり方が検討されました。府内産木材の循環利用確保という課題からは、京都府独自のウッドマイレージ認証制度の推 進機械化・路網整備の推進を行ってきました。さらには地球温暖化防止に貢献する森づくりとして、森林吸収源森林整備目標面積の達成に取り組んでいるところです。京都府には環境条例があり、ある程度以上の排出量のある企業は、毎年CO2の排出計画ならびに実績を府に報告しなければならないということになっています。その削減策として、森林整備をした分はCO2の削減が認められ、その量は私どもがCO2計算して提出させていただくというオリジナルな取り組みを行っています。
なかでも「緑の公共事業」は、京都府の75%を占める森林の保全と整備を「地球環境の保全や子供たちの未来を育むための公共事業」と位置づけてアクションプランを作成し、推進してきたものです。そのアクションプランは、林業 関係者や企業関係者によって組織された検討会によって練られました。例えば寺社仏閣の修復材の確保ということで、長伐期施業をしているスギ・ヒノキ林を「文化の森」として指定し、適正な整備によって保全しています。また木製のダムや木橋をつくる等の公共事業によって、間伐材の有効な利用を図ってきました。
モデルフォレスト運動推進のための条例制定
しかし、それらだけでは解決できない部分も多々ありました。また一方では府民みなさんが森林活動に参加したいという話もありましたので、緑の公共事業の検討会の中で「モデルフォレスト運動を推進していこう」という話になりました。ちなみにモデルフォレストとは、森林に関わる利害関係者みんなでその森林を見つめ、考え、どのように活用していくかを研究しながら実践していくというカナダで発祥した運動であり、現在は世界20カ国40地域で活動されています。それに京都府でも取り組んでいこうということになり、それを進めるための制度づくりとして「豊かな緑を守る条例」が制定されました。
この条例の理念のひとつには、府民参加による森林の利用保全の促進があります。具体的には、知事が公共性の高い森林利用保全重点区域を指定、森林利用保全活動団体を登録し、その活動が地元の森林所有者と上手くいくように森林利用保全協定を認定するということです。もうひとつの理念は、森林の開発行為について透明性と適正性の確保をすることです。森林の公益的機能の高度発揮、良好な地域環境の形成・保全、府民生活の安全確保ということを頭に入れながら、自然的・社会的・歴史的背景を踏まえた地域区分をして、その地域区分ごとの長期的目標を定め、その目標達成のための方針と施策の基本方向を練るということで対応しています。

大文字山周辺でのボランティア活動
多様な業界関係者が参画して協会を設立
このような制度がベースにあって、京都モデルフォレスト運動が推進されていくことになります。まずは京都モデルフォレスト協会の発起人となっていただけるよう、様々な業界の人に京都府が声をかけて委員会を開催し、昨年11月21日にモデルフォレスト協会の定款が認められ、発足という運びとなりました。
社団法人にした理由は、寄付金の受け皿としての団体でもある必要があったからです。実際の運営は協会の事務局と、京都府の組織内のモデルフォレスト推進室が一体になってあたっています。また、京都府の緑化推進委員会は森と緑の公社が担当していましたが、「森づくりの寄付金を集めて事業を実施するのであれば、緑化運動も合わせてやった方がよいのではないか」ということで、当協会が公社から京都府の緑化推進委員会を引き受け、緑化委員会としても活動していくという形になっています。会員数は19年11月末現在で332。12月に入って340まで会員数を増やしています。
協会がコーディネートして「府民ぐるみの森づくり」を推進
仕組みとしては、企業や団体等から資金提供を、市町村や森林組合を通じて森林所有者等から森 林の提供を受け、協会が森づくりのコーディネートや基金の運営をすることで「府民ぐるみの森づくり」を推進しています。
具体的には企業の社員による間伐、漁業関係者による水源林整備、市民による台風被災地の復興植樹、府民による里山整備、府民による植樹活動や竹林の整備などがあります。送り火で有名な大文字山周辺の草刈や植樹も行っています。
また、府民みんなで森林を守り育てるモデルフォレスト運動であるからには、まずは森を知っていただいて、そこにある課題は何かを気づいてもらって、その中から課題の解決策を見つけてもらう必要があります。そのため、ボランティアの連携を図るための円卓会議、これまで森林に関わってこなかった企業の社員にも森づくりについて理解していただくための財界や関係者による森づくり対談、森林整備体験教室といったことも行っています。
企業の森づくりという観点では、京都モデルフォレスト協会、京都府、市町村と企業とで少なくとも5年、できれば10年の応援協定を結んでいただき、継続的に資金提供とボランティアという人材提供をしていただくという段取りでお世話になっております。現在は10を超える地域で企業参加の森林づくり活動が始まっています。
また、京都モデルフォレスト協会の大きな特徴には、協会が主導権を握って主体的に活動をするのではなく、各地域の企業や大学、NPO、市町村、森林に関わる関係者で地域協議会を立ち上げていただき、独自の活動をおこなっていることがあります。私どもは、企業と地元を結びつけて森づくり活動をしていますが、今後は森林を使った地域の環境づくりにまで展開していきたいと考えています。


