地域と森林の特色
温暖多雨な気候と人の営みが育んだ 「木の国」
約650キロメートルにもおよぶ変化に富んだ海岸線と、紀南地方の照葉樹林をはじめ、「木の国」と呼ばれるにふさわしい広大な森林渓谷に恵まれた和歌山県。県土の多くが、古くから紀伊山地で営まれてきた暮らしや信仰が形づくった「文化的景観」として世界遺産の指定をうけており、その複雑多彩な森林は人々の暮らしとの関わりのなかで、その姿を残してきました。
また熊野の急峻な山々に多大な努力により植栽されたスギやヒノキは、森林の生育に適した温暖多雨な気候の恵みも相まって、つやがよく香りの立つ優れた木に育ち、人々はもっとも身近で再生産可能な資源である木材を有効活用し、その循環の仕組みを受け継いできました。
企業の森づくり
森林と地域を活かす「企業の森」 〜森林環境政策のトップランナーとして〜
しかしながら、社会構造の変化による森林の荒廃は、わが県でも徐々に拡がりを見せています。地球温暖化防止対策としても、多様で健全な森林の整備は、県土の77%を森林が占める森林県としての責務であると考えています。
このような状況をふまえ、平成13年より環境保全を目指す「環境林」として整備を行うことで雇用を創出、都市から地方への人口流動や地域活性化を図る「緑の雇用」事業を全国でいち早く開始しました。
続いて平成15年には、「緑の雇用」事業が契機となり、企業の皆さんとの協働で森づくりを推進する「企業の森」を全国に先駆けてスタートさせ、現在では52の企業、団体の皆さんとの協働が進んでいます。社会貢献、CO2吸収、環境教育、福利厚生など、各企業や団体の皆さんの目的に添う形で、県がフィールドや地域との橋渡しを行い、活動をサポート、また情報誌「CSR WAKAYAMA」などを通じて積極的なPRも実施しています。
さらに「企業の森」では、企業の皆さんと地域の方々が協働で森づくりを行うとともに、紀州備長炭の炭焼き体験、世界遺産熊野古道の散策プログラムといった、県内の豊富な自然資源に触れてもらうことのできるプランを実施することで、有機的な関係が育まれ、地域の活性化へとつながるという手ごたえを感じています。
地球温暖化対策への貢献 〜新たな試みの発信〜
森林県ならではの地域特性を活かした地球温暖化対策の推進および参画企業へのサポートとして、CO2の吸収量・環境保全活動の認証制度も実施しています(100年推計の見込み量を算出)。さらに「和歌山県地球温暖化対策条例」において、CO2の排出削減計画提出を義務づけられた和歌山県内に事業所を有する事業者に対して、補完的措置としてこの認証したCO2の吸収量を削減量としてカウントできるようにしています。
また今後も「企業の森」事業を継続的・発展的に推進していくために、この事業がもたらす経済波及効果について調査を実施、参画企業が延べ10年間活動し交流イベント等に参加した場合の経済波及効果額を算出するなど、より多くの理解、協力を得るための新しい試みを発信し続けています(平成19年3月現在の参画企業27企業・団体が10年間活動した場合の経済波及効果額:18億6000万円と推計)。
取り組みの事例
● ユニチカ労働組合 『ユニチカの森林』(和歌山県日高川町)
平成15年より「企業の森」第1号として参画。社会貢献、環境意識高揚を目的とした「緑のプラン」の一環として、山林2haにクヌギ、コナラ、ヒノキを植林し、年数回現地を訪れ、下草刈りや枝打ち等を行っています。またグリーンツーリズムのプログラムが豊富な日高川町がフィールドとあって、地域の方々と協働で、木工創作、ウッドバーニング、シイタケの原木づくりなどの多彩な体験活動も活発に行い、地域との交流が着実に広がってきています。
 ユニチカの森林
● パナソニック電工株式会社 『ながきの森』(和歌山県田辺市龍神村)
社内公募により森と自然環境の長寿を願って名づけた「ながき(長生き)の森」において、平成19年より活動を開始、10年間で20haの植林と森林整備を行う計画です。
毎年4月の植林の日には、当社の新入社員、役員、従業員と家族、OBが一体となってこの活動に取り組んでいます。またこの日には、NPO法人「龍神は〜と」の皆さんが、黒米やあまごの甘露煮など、食材の全てを龍神村産にこだわり、弁当箱も龍神村の間伐材を使うなど龍神らしさ満載の美味しいお弁当を作って下さいます。
 パナソニック電工「ながきの森」
秋には、地元の林業祭「翔龍祭」に参加させていただく一方で、年末の当社イベントには地元特産物の出店を行っていただいています。このような植林を中心とした活動を通じて、地域の皆さんとの相互交流も深まっています。
企業の皆様へ
歴史ある地域文化や豊富な自然資源に恵まれていることから、地域が中心となり、これらを活用した体験プログラムづくりにいち早く取り組んでいる和歌山県では、「企業の森」参画企業の皆さんが各々の活動地域で「そば打ち」「もちつき」「農業体験」などの活動を宿泊付きで体験するといった動きも生まれています。
熊野の地は、山に木を植え守り育ててきた人の営みと自然との共生が生んだ文化の象徴でもあります。「企業の森」事業を通じて、今の時代に即したあり方での、人と森林、地域との関わりを、企業、団体の皆さんと手を携えながら育んでいけたらと考えています。ぜひ「木の国」の森づくりにご参加をよろしくお願いいたします。
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