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航空会社のCSRとは?
航空会社はその業務の性格上、お客様・投資家・従業員・取引先・地域社会など幅広い関係先(いわゆるステークホルダー)を抱えている。ステークホルダーとのコミュニケーションを通じて社会との持続的な共生を図りつつ、企業価値を向上させ、ステークホルダーに対する説明責任を果たしていくことは、航空会社としてのCSRの基本となっている。とりわけ、ANAグループは単に経営理念を掲げるのみならず、役職員一人ひとりが実際に行動することを重視しており、「実践すること」が「安心」と「信頼」を得る唯一の方法であると考えている。
具体的には、輸送業たる航空会社として「安全責任」を中核として、環境への責任をすべてのCSRのボトム、つまり前提としてかけがえのない存在として位置づけていることが特徴である。
■ ANAグループのCSRの考え方
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航空会社の環境問題とANAの環境対策
航空会社の「環境」対策の歴史は古く、ANAではすでに1970年代初頭より環境部門が組成されていたが、そこで取り上げる「環境」問題は主に、騒音と地域的な排気ガスの問題であった。しかしながら、1990年代に入り、環境問題への取組みの視座が「周辺環境」から「地球環境」へシフトしたことに伴い、従来の環境保全を目的とした対処療法的活動を転換し、航空産業と地球環境の共存に向けた積極的な活動を行うための体制を整備した。
なかでも化石燃料を大量に消費する航空会社にとっては、地球温暖化・気候変動への対策が喫緊の課題となっており、ANAは持続可能な社会を実現するために、2002年に当時としては画期的な包括的な環境経営計画「ANAエコロジープラン2003-2007」、2008年度には第2弾となる「ANAエコロジープラン2008-2011」を公表した。
2008年度から京都議定書の約束期間に入ったことにともない、新しい「ANAエコロジープラン」では世界の航空会社で初めてとなるCO2総量目標を掲げ、京都議定書の目標達成への貢献と地球環境問題に対する航空会社としての責務を明確に示した。世界初のCO2総量目標、世界に先駆けた新型機の導入、業界に先駆して始めた全国空港周辺の森づくり活動など、業界パイオニアとしての活動が評価され、2008年11月環境省より、運輸業界としては初めてとなる「エコ・ファースト企業」の認定を受けている。
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ANAの森づくり
「ANAグループエコロジープラン」では、従来の対処療法に留まらないプロアクティブな活動として「環境・社会貢献活動」を掲げ、なかでもその中核的な存在として掲げたのが「私の青空~森づくり」である。ANAの環境・社会貢献活動の冠言葉である「私の青空」は、ANAのシンボルカラーでもあるブルーがペイントされた航空機がいつまでも青い空のなかを飛べるよう、またその青い空が永遠に持続可能なものにするためのANAの社会的責任(CSR)を表したものである。
森づくりはすでに2003年の第1次エコロジープランの中で目標として掲げていたが、当時は世界の航空会社のなかでも森づくりや植林活動を経営目標として掲げた企業は皆無であり、画期的な出来事として注目された。
■ ANA 森づくりのあゆみ
「ANAグループエコロジープラン」では、森づくりの項目として「国内外で緑化活動を推進する」ことを世間にいわばマニフェストとして公表した。航空会社としては初めての取り組みであったが、日本の事業法人の中ではすでに植林などを始めている企業があり、場所、数、方法、パートナー、国内か海外か、などの諸要素をスタディーした上で検討、ANAが重視したのは以下の点であった。
これらの諸要素をもとに社内で検討を重ねた結果、「ANAグループ『私の青空』森づくり~全国空港周辺地域での緑化活動」の青写真ができあがった。具体的には航空会社としての特長を出すために日本全国に約50ある空港の周辺で森づくりを行うことを目標として、産官学含め、幅広いステークホルダーと協調しながら、従業員の啓発や地域貢献も視野に入れたうえで、日本国内を中心に取り組むこととした。
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「私の青空~森づくり」の推進とその類型
ANAグループが就航している全国空港周辺の森づくりは、現在までには国内27カ所、海外5 カ所の計32カ所に上る。「私の青空」と称した森づくりは共通しているが、「さまざまな方法での緑化活動」を企図したために、その進め方・パターンは一様ではない。以下のそのいくつかの類型と事例を紹介する。
A・国有林 … 国とのコラボレーションによる森づくり(羽田・千歳他)
最初に着手したのは林野庁が進める「法人の森林」契約であった。2003年度に「私の青空 羽田空港 天城湯ヶ島の森」として、関東森林管理局と分収造林契約を、2004年度に「私の青空 千歳空港 らんこしの森」として北海道森林管理局と分収育林契約をそれぞれ締結した。天城湯ヶ島ではヒノキなどの針葉樹やその他の広葉樹を植林、また、千歳では倒木の跡地などにミズナラを植林するとともに、下草刈りなどの育林作業を実施した。
法人の森林契約は60年~80年という長期契約であり、ANAでは、グループ社員の環境教育や地域の方々との交流の場として活用する計画である。
B・公有林 … 地方自治体の公有林を活用した森づくり(函館・宮崎他)
日本全国各地の空港に就航しているANAグループにとって、県や市町村など地方自治体は重要なステークホルダーのひとつである。2004年5月に函館市大野町で、「私の青空 きじひきの森」を始めたのを皮切りに、同年10月に宮崎県北郷町で「私の青空 花立の森」(イベント自体は台風により中止)、2005年5月に釧路の標茶町で「私の青空 標茶町湿原の森」を実施するなど、自治体の公有林を使った森づくりを進めている。
地方自治体としてはこのようなイベントを地域振興として役立てたいという意向があり、ANAとしては地域への貢献という観点からCSRの一環として活動でき、結果として人の手が入りにくく、荒廃する傾向にある地方の森林を整備する方策のひとつとなっている。
C・私有林 … 民間企業とタイアップした森づくり(広島他)
私の青空~森づくり活動としては初めての民間企業同士のコラボレーションイベントとして、2005年8月、「私の青空 広島空港アサヒの森」を開催した。アサヒビール(株)は広島県庄原市などに2,169ha にわたる広大な山林を所有している。同社はもともと戦前のコルク入手難に備えて、コルクの代替となりうる「アベマキ」が自生する山林を購入していたもので、昨今は公益性のある高価値な森林として管理・整備している。ANAはその私有林を活用して、地元の親子連れを中心に招待して植林や間伐の実演など環境教育を実施している。
私の青空 広島空港 アサヒの森
D・その他 … 地元団体や有志が大切にする森の整備(関西・大分他)
2005年4月、ANAは和歌山県緑化推進会とゲンジの森実行委員会とタイアップして「私の青空 高野山 ゲンジの森」を実施した。ゲンジの森実行委員会とは(財)和歌山県緑化推進会から周辺の森林整備事業を委託され、昆虫が棲む豊かな森を残そうと地元出身者が中心となって活動している団体である。 2006年4月には大分県の企業などと「私の青空 大分空港の森づくりの会」を結成し、「私の青空 大分空港 糸原海岸の森」を実施した。
森づくりには地元住民や大学生のボランティアなど総勢450名が駆けつけ、糸原海岸の浜辺を清掃した上で、森林組合の技術指導のもと、クロマツ・マサキ・モチノキ・トベラ・キョウチクトウなど計1,220本を植樹した。
これらは土地や山林の所有者に拘らず、「昆虫が住む森」「白砂青松」を取り戻そうとする地元有志との共同作業であり、ANAはこのような志をサポートする形での森づくり活動を重視している。
私の青空 関西空港 高野山ゲンジの森
E・その他 …「青空塾」環境啓発活動を軸とした森づくり(中部・山口他)
2004年12月、ANAは自然の保全や再生について研究している京都大学フィールド科学教育研究センターと環境保全・再生に関するフィールド活動を共同で実施することで合意した。ANAは産官学が連携した森づくりを目指しており、京都大学フィールド科学教育研究センターとのタイアップによって、学術的な観点からの包括的なサポートが受けられることになった。
ANAの森づくりの重要な目的のひとつは環境啓発であり、同センターの教授・講師による「青空塾」の実施により、森づくりの参加者がより体系的な学習ができるようになった。
F・海外 … アジア地域でNGO とタイアップした森づくり(タイ、中国他)
風土や言語、交通手段などの文化が全く異なる海外での森づくりをいきなり始めるのは困難であることから、本格的な海外展開の布石としてもりづくりを計5 回実施した。海外展開にあたってはNGO で海外における植林活動で多くの実績がある(財)オイスカと協力、ANAも同財団の特別法人会員となり、パートナーシップを組んで進めた。ミャンマーでは3年計画でアカシア・ユーカリなど計約2 万2,500本、スマトラ沖大地震の津波で被災したプーケットでは、マングローブの森となる苗木を約1 万本、チエンマイでは地元の小学校の生徒とともに、ジャックフルーツやキーレックなどの苗木を約800本植林している。
また、中国・上海の植林では日本の航空会社の森づくりとしては初めての「植林ツアー」を組み、横浜国立大学名誉教授の宮脇昭先生をお招きして、「上海青空塾」を開催し、植林指導を受けた。
私の青空 アジア
タイ(チェンマイ) オイスカの森
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今後の課題と方向性
航空会社としては日本で最初、世界でもパイオニアとして始めた「私の青空 ANAグループの森づくり」も6年目となり、地方自治体からの支持や従業員啓発など、当初の目的を一定度達成した点もある。しかし、その一方で企業が求められる社会的責任(CSR)は一層高まっており、ANAも環境責任という観点から、今一度森づくりの意義・方策を見直す時期を迎えていると思われる。また、海外における植林活動については、国と場所の選定も含め、確実で効果的な手法を早期に確立する必要があると認識している。
今後は航空会社としての特色を出した「全国空港周辺の森づくり」というスタイルは踏襲しつつも二酸化炭素の吸収源としての森の役割を一層重視した森づくりに徐々に軸足を移しつつ、「エコ・ファースト企業」として、持続可能な「私の青空」の実現に向けて、森づくり活動の質的量的充実を図りたい。
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お問い合わせ
全日本空輸株式会社 CSR推進室 環境・社会貢献部
T E L:03-6735-2764
FA X:03-6735-2779
E-MAIL:kankyou@ana.co.jp
URL:http://www.ana.co.jp/ana-info/ana/csr/index.html
